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素敵な人がたくさんいるけど負けたくない/油井文寧


油井文寧

女優

文寧ちゃんは働けなさそうだから、演劇に行った方がいい

油井文寧(ゆい あやね)23歳です。一昨年、桜美林大学を卒業しました。今は舞台に立ってます。舞台役者をしています、フリーです。

親に大学は行けって言われてたんです。でも、「もう勉強したくないし、働きたくもありません。どうしたらいいですか?」と先生に相談したら「文寧ちゃんは確かにあんまり働けなさそうだから、演劇とか芸術系に行ってみたらどうかな」って言われて、「なるほど」って思ったんです。

お父さんは最初、普通に資格生かして就職して、趣味で演劇をやったらいいんじゃないかて言ってたんですけど、先生が「文寧ちゃんは多分働くのは無理なので、演劇とかの方が向いていると思います。」って言ってくれて、そしたらお父さんも納得してくれて、まあ最終的には好きなことをしっかりやれって。
ー何故先生は働けないと思うって言ったのでしょうか

言われた言葉そのままだと思います。

悪い意味じゃないと願いたいです。実際バイト先で、私が入る日は今までにない事例が起きるらしく、知らないとこで「爆弾」と呼ばれていました。それくらい仕事ができません。だから、私は役者で頑張らないと、これしかないですから、今のところ。

次で最後にしよう、でも終わると次のことを考えている自分がいる

普通に生活してあんまり褒められることが無くて、バイトしてても要領が悪いから怒られてばっかり。演劇が唯一私を褒めてもらえることで。でも、普段褒められることがないから本当かなとか思ったり。なんか天邪鬼なんですよ。

まだ演劇が楽しいものだと思えていなくて、本番を不安で嗚咽しながら迎えたり。「おえっ」みたいな。人を沢山書いて飲み込んだりしてます。ここ数年ははないんですけど稽古始まったら、本番までに5・6キロ痩せちゃってたりもしてました。自分に自信がないんです(笑)

私を通して見てもらう世界の魅力

私のまわりで演劇やってる人が少なくて。こうやって私がやってるのを観に来てくれた時に「私を通してでしか知りえなかった世界だ」って言ってくれる人がいました。私誰かの役に立てた!ってすごく嬉しかったです。

私は舞台に立ってるけど「面白くねえなこの人」て思われてるんだろうなぁとか、すごいマイナス思考なんです。そんな中でも「文寧のいる世界ってすごい素敵なんだね」って言ってくれる人達がいるから、やり続けたいっていうのはあります。でもまあ、明日にでも辞めるんじゃないかって毎日思ってもいます。

素敵な人がたくさんいるけど負けたくない

今回の出演者には、本当にいろんな人がいて面白いなって。役としての自分と、私自身が混ざった時に、役も見えるしその人自身の人柄も見えたら、面白くなるんじゃないかって思います。

経験積んでいくと、演劇を知らなかった頃の私より役者としてかっこつけちゃう自分がいる、こうだみたいな。空花さんとか見てると、それが無さそうですごい素敵だなって思う。

とにかく素敵な人がたくさんいるから、私も負けないようにくらいついて行かなきゃなっていうのはあります。埋もれないように(笑)

共演者が私の見ていた景色を変えてくれる

私は「Q学」を観たことがなかったので台本を最初読んだ時は、本当、なんだろ、私はルーキーズみたいな単純な印象だけでした。

でも、やっぱり皆んなと稽古していく中で、どうでもないって思っていたシーンでも、皆んなが出してくるもので「こういうことだったんだ」とか「めちゃめちゃ辛いじゃん」とか、見えてこなかったものが、他の役者の発信を通して見えきて、景色が変わる日々です。

これは全然単純な話じゃないじゃん!ごめんなさい!という感じです。これから千秋楽までずっと変わっていくんだろうなと感じてます。

将来も明るく楽しんでいたい

自分が明るい人間であったらいいなって。

正直、将来は役者をやってるかどうかわかんないし続けたいとも答えられないんですけど、今より楽しいなって思っていたい。

あとは、幸せな家庭を築いていたいし、家族をディズニーランドホテルに連れてってあげられる人になっていたいです。

ああ!!あります!
なんで役者やろうって決めたか!!あります!

大学の頃、演劇学科に馴染めなくてほとんど演劇の授業を取っていませんでした。まあ、自分から離れていったので同期とも仲良くなれず演劇してませんでした。でも、親に申し訳なくてせめて演劇学科にいる意味を形にして残さないとと思って学内での大きなオーディションを受けて舞台に立っていました。受かっても自信がないから主役とかメインじゃなくて、舞台のすみでちょちょちょいってやれてたらいいなみたいな、セリフもなければない方がいいし、出番もなければない方がいいっていう無責任ですよね。

「働きたくないから演劇の大学に行ったけど、演劇全然やってないし、けどもう4年だしどうしよう」と思っていた時ににある人と出会いました。東京大学演劇連盟という年に一度主催の大学が演出家を呼んで芸術学校5大学それぞれオーディションで選ばれた人達と作品を作るという企画があります。

4年生の時に私は「昔々日本」という作品に出演しました。キャストがダンサー含め38人いたんですよ。群像劇だったので誰が主役とかはないんですけど、メインキャストに選ばれたんです。

その時の演出家さんが範宙遊泳の山本卓卓さんで。「油井ちゃんにも光が当たるよ」って言ってくれたんです。その後に「役者を続けるの?」と聞かれて、深く考えず「はい」と言ってしまいました。「よかった」と言ってくれたんです。初めてでした。ああ、やってていいんだなと。卓卓さんの言葉のお陰でちゃんと演劇しようって思いました。

今は評価されるようになりたいなって、単純に続けるだけじゃなくて、ちゃんと観てもらいたい人に評価されて、そこに求められたいなって思うようになりました。
ーその話なんで忘れてたの

恥ずかしくて言えませんでした(笑)

今は堂々と「私はフリーで役者やってるんです」って言えるようになりたい。そう言える自信が欲しいです。